肺炎球菌による感染症で、小さな子どもがかかる重大で命にかかわるVPDです。この菌がのどなどから体に入って発症します。子ども、とりわけ2歳以下の子どもは肺炎球菌に対する免疫がほとんどなく、小児の肺炎球菌感染症は重症化することが多くなり、脳を包む膜にこの菌がつく細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)もみられます。肺炎球菌感染症は高齢者を含めて誰もがかかる危険性のある感染症ですが、集団保育の子どもは2~3倍かかりやすいと言われています。
日本では肺炎球菌による髄膜炎は年間200人くらい発生しています。このほか肺炎が12,000人、重い中耳炎や菌血症(きんけつしょう)もおこします。潜在性菌血症をもっとも起こしやすいのが肺炎球菌です。潜在性菌血症は、高い熱以外に症状がないのに、細菌のいるはずのない血液の中に細菌が増えている状態のことで、菌血症から細菌性髄膜炎などになることがあります。日本では年間約18,000人の子どもがかかっています。
一方、欧米では 2000年頃から子どもにも有効な小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)が使用されて、かかる子どもが激減しています。
細菌性髄膜炎でも初期症状は発熱と不機嫌が主で、血液検査をしても風邪と区別ができないことも多く、早期診断が難しい病気です。その後、ぐったりする、けいれん、意識障害などの症状がみられます。診断がついても、抗菌薬が効かない耐性菌が多く、治療は困難です。肺炎球菌による髄膜炎は、死亡が7~10%、後遺症率は30~40%とヒブによる髄膜炎に比べて、死亡と後遺症の比率が倍くらい高くなります。ヒブによる髄膜炎と同じで、後遺症が無く治ったと思われた子どもが、中学生頃になると軽い知能障害がはっきりしてくることもあります。
肺炎をおこした場合も、ウイルス性肺炎と異なって、たいへん重症になります。中耳炎の場合でも、耐性菌が多いので、重症で治りにくくなります。
基本的に、上記のように重症になります。髄膜炎による後遺症として、発達・知能・運動障害などのほか、難聴(聴力障害)がおこることがあります。
小児用肺炎球菌ワクチン(任意接種・不活化ワクチン)で予防します。日本では、2010年2月に欧米から10年遅れて、プレベナーが発売になり、日本の子どもが接種できるようになりました。生後2か月から9歳以下、とくに4歳代までのお子さんはすぐに受けるようにしてください。
ワクチンの接種回数は初回を接種する月齢・年齢により異なります。生後2か月から6か月までに初回接種をはじめれば合計4回です。7か月から11か月は3回、1歳代は2回、2歳から9歳まで(10歳未満)は1回です。詳しくはワクチンの説明を見て下さい。肺炎球菌による髄膜炎の起こりやすい生後6か月までに初回3回の接種を済ませておくようにしてください。
かかった人の半数が1歳前です。決して接種回数が減る1歳まで待たないでください。そして、病気が重いだけでなく早期診断が難しい上に、抗生物質(抗菌薬)が効かない菌も多いので、生後2か月になったらすぐに接種します。生後2か月でヒブ、ロタウイルス、B型肝炎ワクチンと同時接種で開始して、3か月からはさらに三種混合(DPT)ワクチンを加えて同時接種で受けるのがおすすめです。
早く免疫をつけて、こわいVPDから子どもを確実に守るために同時接種は欠かすことのできないものです。同時接種が安全であることは、世界の何億以上の子どもたちが受けてきていることからも、世界の常識であり、日本でも確認されています。接種年齢になっていれば、何本でも受けられます。米国では、生後2か月の時は6種類も受けています。
2010年末から公費助成が始まりました。予診票(接種券)の受け取り方などくわしくはお住まいの自治体までお問い合わせください。