子どもの下痢やそれに伴う嘔吐が起こる病気は、「嘔吐下痢症」とも呼ばれますが、正式には胃腸炎です。その原因のほとんどがウイルスなので、「ウイルス性胃腸炎」と呼ばれます。
胃腸炎の原因になるウイルスはたくさんありますが、一番重症になりやすいのがロタウイルスによる胃腸炎です。この病気にかかると水のような下痢が何回も続き、それに嘔吐が伴うと、体から水分と塩分がなくなり、いわゆる脱水症になります。そこまで行かなくても、大変つらいものです。下痢便の色が白くなることも多いので、「白色便性下痢症」とか、冬に多いので「冬期下痢症」と呼ばれることもあります。ただし、別のウイルスでも、同じような症状が起こることがあります。
このウイルスは下痢だけでなく、繰り返すけいれんや脳炎なども起こします。
ロタウイルスには多くの種類があり、ウイルスごとに免疫が違ったり、できた免疫が弱かったりして、一度だけでなく、3−5歳頃までに何回かかかることもあります。ただし年齢が大きくなると重症化する比率は低くなります。
脱水症がひどくなると、点滴が必要になります。点滴をしても、重症で死亡することもあります。また、けいれんが何回も起こったり、脳炎になることもあります。
感染力が強く、保育所などでもあっという間に流行します。手洗いなども大切ですが、ほとんど伝染を抑えることはできません。根本的な治療法がないために、ワクチン開発が望まれていました。欧米では、数年前からワクチンが実際に使用されて、効果をあげています。
現在2種類のワクチンがあり、基本的に生後2か月頃から2−3回、飲む生ワクチンとして利用されています。以前のロタウイルスワクチン(ロタシールド)は、腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)が多く起こるとして中止されています。今回のワクチンはそれと違い、飲む時期をしっかりと守れば、世界中で安全性が確認されています。日本ではまだ発売されていませんが、現在テスト(治験)中で、数年先には使用できる見込みです。