インフルエンザウイルスによっておこる呼吸器の感染症で、主に冬に流行するVPDです。ふつうのかぜとは重症度が違い、気管支炎、クループ(声を出す喉頭が炎症をおこしてはれる病気)、肺炎などの呼吸器の病気をおこします。子どもの場合、熱性けいれん、異常行動(飛び降りなど)や、脳炎・脳症まで起こすことがあります。特に10代は、インフルエンザの症状として高い所から飛び降りるなどの異常行動がみられることがあるので、どの年齢でも子どものそばにいるようにしましょう。これはインフルエンザの薬が原因ではありません。
現在、原因になるウイルスには3種類(A/H3N2、A/H1N1、B型)があり、この3種類のウイルスの形や性質が年々少しずつ変わるので、感染の予防が難しい病気です。日本の子どもは脳炎や脳症をおこしやすいので、毎年犠牲者が多く出ています。感染力も強く、子どもが家に持ち込んで、赤ちゃんや高齢者にうつすこともよくあります。
約3日前後の潜伏期の後でまず高熱が出ます。必ずしもせきや鼻水がひどくなるわけではありません。声がかれてケンケンとしたせきが出る喉頭炎(クループ)になることもあります。年齢によりますが、頭痛や腹痛などの症状が出ることもあります。熱は4~5日続いて、その間に気管支炎や肺炎をはじめとする合併症がおこることがよくあります。
また、熱が2~3日程度と軽い場合もあります。ただし熱が下がってもその後2日間はほかの人にうつす可能性が高いので、保育所や学校への登園・登校はできず、家での安静が必要です。
気管支炎・肺炎・脳症・脳炎などは注意すべき合併症です。
異常行動や脳炎・脳症:熱が出てから約2日の間におこりやすくなります。子どもに脳炎・脳症を起こすウイルスは多くのものがありますが、インフルエンザ脳炎・脳症はかかる人の数が一番多い(年間250~500人)ので知られています。いろいろな治療法を行っても、死亡や脳障害の後遺症が残る場合が多くみられます。脳炎まで行かなくても、飛び降りなどの危険な行動を起こす可能性があるので、熱が出てから2~3日間は、家族などがそばについて子どもの行動を監視した方がいいでしょう。
肺炎:インフルエンザウイルスによるものと、2次的に肺炎球菌などの細菌がついておこるものがあります。肺炎をおこしている場合は、せきがひどかったり、熱が長く続いたりすることでわかります。
インフルエンザワクチン(任意接種、不活化ワクチン)で予防します。現在はいくつかのインフルエンザ治療薬(タミフル、リレンザ、イナビルなど)ができていて、軽症化が期待できます。しかし、発症してすぐに服用しても、脳炎の予防までは期待できません。また、日本では飛び降りなどの異常行動とタミフルの関係が疑われたため、10代の子どもには、あくまでも原則としてタミフルは使用できません。良い治療薬がでていますが、あくまでもインフルエンザの根本的な対策はワクチンです。
2011年シーズンから、ワクチンの接種量が変更となり、WHO(世界保健機関)の標準量を接種することとなり、予防効果の向上が期待できます。インフルエンザワクチンは発病予防だけでなく、重症化予防として接種することをおすすめします。