NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会は、ワクチン接種で子どもたちをVPDから守るための啓発活動をしています。このほど新型コロナワクチンの接種対象となった5歳から11歳の接種の考え方を以下に示します。
5歳以上の新型コロナワクチン接種を推奨します
オミクロン株の流行とともに新型コロナウイルス感染症の新規陽性者に占める10代以下の割合が増加し、2月には全体の30.0%となりました。年代別陽性者率(10万人当たりの新規陽性者数)は、5~9歳が最も多く、次いで10~14歳となっています¹⁾。
当会では、子どもたちの健康を守り、社会生活を維持するために新型コロナワクチン接種を推奨します。
今後出現する新しい変異株が、より感染力が増したり、小児がより重症となったりする可能性は否定できません。そのための準備としても、現在のワクチン接種が重要と考えます。
1) 第74回(令和4年3月2日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード「新規陽性者数の推移等(HER-SYSデータ)」
子どもたちを入院や重い病気から守る
小児の新型コロナウイルス感染症の多くは軽症や無症状ですが、入院や重症化することもあります。感染者数の増加に伴い、中等症や重症例の増加が懸念されています。また、新型コロナウイルス感染後、数週間経ってから発症する多系統炎症性症候群(MIS-C)が国内外で報告されています。MIS-Cは心臓など多臓器に影響を及ぼし集中治療室での入院治療が必要となる重い病気で、発症の中心年齢は8~11歳です。感染者が多い米国ではMIS-Cによる死亡も報告されています²⁾。
2) 日本小児科学会「小児 COVID-19 関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメント」
5~11歳に対してもワクチンの有効性は高く、接種後の副反応のほとんどは軽症
5~11歳の子どもたちは、有効成分を12歳以上の3分の1に減量した新型コロナワクチン(ファイザー製)を3週間隔で2回接種します。5~11歳に対しても有効性を確認しています。
副反応の発生頻度は12~15歳、16~25歳よりも低く、心筋炎については12~15歳、16~17歳よりもおこりにくく、発症した全員が回復しています³⁾。
3) Hause AM, et al.:COVID-19 Vaccine Safety in Children Aged 5-11 Years - United States, November 3-December 19, 2021.MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Dec 31;70(5152):1755-1760.
小児期のうちに新型コロナウイルスから日常を守るベースづくり
新型コロナワクチンを2回接種し1~2週間経過すると、免疫がつき予防効果が高くなります。いちど免疫を獲得しておけば、ワクチンの効果が低下しても追加接種によって迅速に効果を高めることができます。新型コロナウイルスから日常を守るベースをつくるために、ワクチン接種で小児期に免疫を獲得しておくことをお勧めします。
接種に不安や迷いがあるときは、急がずにかかりつけ医に相談を
現時点で接種に対して不安や迷いがあるときには、急いで結論を出す必要はありません。かかりつけ医などに相談のうえ、適切な時期に接種をすることが大切です。
2022年3月4日
NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会