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2025-05-25 00:08:12

RSウイルス感染症から子どもたちを守る2つの予防法

RS ウイルス感染症は、新生児、乳児が感染すると重症になり入院したり、集中治療(酸素投与や人工呼吸)が必要となったりする呼吸器感染症です。

早産児や基礎疾患がある乳幼児は重症化リスクが高いとされていますが、入院した子どもの90%は基礎疾患がなく正期産で生まれたお子さんという報告があります。

 

WHO ではすべての新生児、乳児を対象にRS ウイルス感染症の予防対策を検討し、妊娠中のワクチンや小児の抗体薬を定期接種に組み込んだ欧米諸国からは効果が報告されています。

2024年5月から日本では、妊娠中のワクチン(任意接種)や、抗体薬(早産や基礎疾患がある乳幼児は保険適用)を受けられるようになりました。

 

当会では、RSウイルス感染症から子どもたちを守るために、妊娠中のワクチンとRSウイルス感染症に対する意識調査を行いました。

調査結果から、RSウイルス感染症の予防を進めるための3つの課題が見えてきました。

 

 

【課題1】出産前にRS ウイルス感染症をよく知る人は6 割弱。お子さんがいない妊婦さんではさらに少ない

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症では、具体的な症状や乳幼児の重症化リスクについて、ほとんどの人が知っています。

一方でRS ウイルス感染症の具体的な症状や乳幼児の重症化リスクを知っている人は6 割弱にとどまっています。

また、長子のお子さんの年齢別にRS ウイルスの認知度をみると、子どもの年齢に応じて具体的な症状や乳幼児の重症化リスクを 知る人が増えています。

実際に子どもや周囲が感染したり、地域での流行情報を耳にしたりするようになるからと推察できます。

 

【課題2】妊婦さんがRS ウイルス感染症の予防法を知らない

妊娠中の女性のRS ウイルス感染症の認知度は、「病気の詳細(具体的な症状や乳幼児の重症化リスク)を知っている」人は、 約半数でした。

予防法については、妊娠中のワクチン「アブリスボ*」が14.5%、抗体薬「ベイフォータス**」は6.8%でした。

*「アブリスボ」:妊娠中に接種し妊婦が産生した抗体が胎盤を通じて胎児に移行することで出生後すぐから生後6 か月頃までRS ウイルス感染症の発 症、重症化を予防する。

**「ベイフォータス」:すべての乳児に投与でき、1 回の接種で約6 か月のRS ウイルス感染症の発症、重症化を予防する。ただし、保険適用は早産児 や基礎疾患のある乳幼児に限られ、保険適用外の場合高額な接種費用がかかる。予防薬には、流行期間中月1 回投与する「シナジス」がある。

 

【課題3】接種の障壁となる費用の問題

「アブリスボ」「ベイフォータス」のいずれも、「無料でも接種しない」人は2 割未満。これは、妊娠中のインフルエンザワクチンと同じ傾向です。

また、4 割程度が有料でも接種の意向を示す一方で、「無料なら接種する」との回答が4 割程度あります。

 

 

予防接種管理アプリに「ベイフォータス」の接種管理機能を追加

当会が提供しているアプリ「予防接種スケジューラー」に、RSウイルス感染症の予防薬「ベイフォータス」の管理機能を 追加しました。

「ベイフォータス初回」は、早産児や基礎疾患(慢性肺疾患、先天性心 疾患、免疫不全、ダウン症候群)があるお子さんのほか、すべての0 歳児が受けられます。

「ベイフォータス2 回目」は基礎疾患がある24 か月齢以下の乳幼児が対象です。 ワクチンの接種管理にご活用ください。 

 

リリース「すべての赤ちゃんをRSウイルスから守る2つの予防法」

(2025年5月24日更新)