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子宮頸がんとHPVワクチンに関するQ&A

一緒に考えよう HPVワクチン、ためらう理由と勧める理由

HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。2013年から定期接種となり、原則として小学校6年から高校1年生相当の女子は、無料で接種できます。しかし、2020年4月現在、「積極的な勧奨接種」の中止により、 HPVワクチンの接種率は極めて低い状況です。
HPVワクチンの接種をすすめている国で子宮頸がんの発症が抑えられている一方で、日本ではワクチンがない時代と同様に子宮摘出や死亡のリスクにさらされています。

子宮頸がんは、VPDです。子宮頸がんから女性や未来の命を守るために、HPVワクチンについて考えていきましょう。

NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会

厚生労働省や自治体のホームページに「HPVワクチンは定期接種ですが、接種を積極的にはお勧めしていません」と書いてあります。たとえ、定期接種でもお勧めしていないワクチンは受けたくありません。

誤解している方も多いのですが、行政の「積極的にはお勧めしていません」とは、「個別通知によるお勧めはしない」という意味です。接種自体は今も勧められています。

行政用語の「積極的にはお勧めしていません」とは?

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、 “定期接種”なのに“接種を積極的にはお勧めしていません”とはどういうことでしょうか。厚生労働省のホームページには、「積極的な接種勧奨の一時差し控え」の解説が載っています。正しい内容ではありますが、わかりにくいため、理解するのは困難です。

一般的な意味で「積極的にはお勧めしていません」は、「勧めていない」と読み取れます。この意味を正しく読み解くには、行政用語を理解する必要があります。厚生労働省やそれを伝えるメディアは、誤解しないように言葉を選んで正確に伝えなければなりません。そのような配慮がなかったため、誤解してしまっても無理はありません。

行政用語の「積極的な勧奨接種」は、“各家庭にハガキ等で接種対象年齢を通知して接種を勧めること”を指しています。つまり、「定期接種のまま積極的勧奨を中止する」とは、「定期接種なので接種をお勧めしますが、個別通知によるお勧めはしませんよ。」という意味なのです。

子宮頸がんの予防対策には子宮がん検診がありますが、 なぜ、検診だけではいけないのですか。

検診だけではいけない理由は、検診では子宮頸がんの発症を防げないからです。検診の目的は早期発見、早期治療。がんの発症予防にはワクチンが必要です。子宮頸がんの予防には、ワクチンと検診を組み合わせましょう。

HPV感染から子宮頸がん発症までの経過と予防

子宮がん検診では、がんの予防はできない

子宮がん検診は、がんの早期発見・早期治療が目的です。検診ではがんの発症を防ぐことはできません。がんの発症を防ぐには、HPV (ヒトパピローマウイルス)ワクチンを接種します。子宮頸がんのなかには、ワクチンで防げないウイルスによる子宮頸がんもありますので、ワクチンだけでは不十分で、検診が必要です。予防には、ワクチンと検診のどちらも大切です。

検診で子宮頸がんが見つかったら、手術が必要 

子宮がん検診で、子宮頸がんが見つかったら、すぐに治療を始めます。幸いにも、前がん病変やごく初期の子宮頸がんで発見できたとしても、HPVに感染した部分を切り取る手術(子宮頸部円錐切除術)が必要となります。手術は、一般的には数日間の入院を要し、麻酔を伴い身体的な負担があります。手術後は、将来の妊娠・出産の際に早産リスクなどの影響が出る可能性があります。

検診での見落としや低い検診受診率も問題

検査には一定割合の見落としがあり、がんや前がん病変がある人でも、「異常なし」と判定され、発見がおくれてしまうことがあります。特に妊娠中の病変や若年層に多い腺がんは、見逃されることが多くあります。
また、そもそも日本では、若い年代の子宮がん検診の受診率が低く、検診を受けずに、子宮頸がんの発見が遅れることが懸念されています。がんが進行すると子宮摘出や死亡のリスクが高まります。ワクチンでウイルスの感染予防、検診で早期発見を組み合わせて、子宮頸がんから守りましょう。

HPVワクチンは、子宮頸がんそのものを予防する効果が証明されていません。 効果が確かでないワクチンを受ける理由がみつかりません。

「子宮頸がんの予防が証明されていない」との指摘はHPVワクチンが使われ始めたころの昔話です。最新データでは、前がん病変や子宮頸がんの減少について報告されています。

【オーストラリア】2028年、子宮頸がんの排除を目指す


出典:Hall MT et al. Lancet Public Health. 2018 Oct 1. doi: 10.1016/S2468-2667(18)30183-X.

【アメリカ】16型、18型HPVによる前がん病変が3分の2に減少


出典:https://cebp.aacrjournals.org/content/early/2019/02/18/1055-9965.EPI-18-0885

【フィンランド】HPVに関連したがんの発生リスクを低下


出典:Luostarinen T, Apter D,ら. International Journal of Cancer 2017; doi: 10.1002/ijc.31231.

海外の報告で、HPVワクチンの有効性が示される

最新データでは、HPV(ヒトパピローマウイルス) ワクチンを早期に導入した諸外国から、前がん病変や子宮頸がんが減少したという複数の予防効果が報告されています。「子宮頸がん予防が証明されていない」という指摘は、アップデートがされていない昔話です。

臨床試験で、“前がん病変” をエンドポイントとした理由

HPVワクチンの臨床試験では、予防効果の指標(エンドポイント)を「子宮頸がん」ではなく前がん病変の「高度異形成」にしました。そうすることで、高度異形成が見つかった時点で治療を開始し、治験に参加した人のリスクを最小にすることができるからです。

子宮頸がんの70%しか防げないワクチンを受ける意味はありますか。

HPVワクチンは、16型と18型のHPVによる子宮頸がんを予防します。この2つのHPVは、子宮頸がん全体の70%の原因となっています。ワクチンで予防できない子宮頸がんもありますので、ワクチンを接種していても検診を受けるようにしましょう。

子宮頸がんになりやすいHPVの遺伝子型

子宮頸がんは、16、18、31、33、35型などのがんになりやすいHPV (ヒトパピローマウイルス)に持続感染することで発症します。このうち16と18型HPVは、世界中の子宮頸がんの原因の70%以上を占めています。この2つのHPVの感染を予防するのが現在、定期接種のHPVワクチンです。 

日本人の子宮頸がんの65%は、ワクチンで予防できる


出典:Onuki M, et al. Cancer Sci. 2009; 100(7): 1312-6.

日本人の子宮頸がんのうち、16と18型HPVが原因でおこる子宮頸がんの割合は65%です。年齢別にみると、20代で90%、30代で76%となっています。このことは、若年層ほどワクチンで予防できる子宮頸がんの割合が高まることを示しています。性交渉経験前の年代でワクチン接種を、経験後は検診を受けるようにしましょう。

HPVは、イボをつくるありふれたウイルスと聞きました。 わざわざワクチンで予防する必要はありますか。

HPVは、皮ふだけでなく性交渉によって生殖器の粘膜にイボをつくります。HPV感染は、子宮頸がん以外にも中咽頭がんや肛門がんなどのがんや、尖圭コンジローマや再発性喉頭乳頭種などの感染症の原因にもなります。

HPVには、がんになりやすい遺伝子型がある

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性交渉によって生殖器やその周辺の粘膜にイボをつくるウイルスで、遺伝子型は150種類以上あります。16、18、31、33、45、52、58型などHPVはがんになりやすく、子宮頸がん、中咽頭がん、肛門がん、膣がん、外陰がん、陰茎がんなどの発症に関連します。6型、11型のHPVは、尖圭コンジローマや再発性喉頭乳頭種(再発性呼吸器乳頭種)などの感染症の原因となります。

◆子宮頸がん
子宮頸部(子宮の入口)にHPVが持続的に感染して起こるがん。ほぼ全ての子宮頸がんはHPVが原因で発症する。30~50歳代の女性に多い。

◆中咽頭がん
喫煙・飲酒やHPV感染が原因でのどの中央部分に発生するがん。近年はHPVが原因で発症するケースが増加している。男性が女性の2~4倍多く、50~70歳代に多く見られる。

◆尖圭コンジローマ
6型、11型のHPVの感染により、生殖器とその周辺に生じる特徴的な形態の良性の腫瘍。男女ともにみられる性感染症。

◆再発性喉頭乳頭種(再発性呼吸器乳頭種)
6型、11型のHPVが原因でのどにできる良性の腫瘍。子どもの場合、母親の産道を通るときに感染する場合が多い。手術で腫瘍を切除するが、再発性が高く手術が何十回も必要になる場合もある。 

HPVに感染してもほとんどは自然治癒するので、子宮頸がんになる人も、死亡する人もごくわずか。ワクチンを受けなくてもよいのではないでしょうか。

日本では、毎年、1万人以上が子宮頸がんになり、3,000人近くが亡くなっています。これは、毎日30人が子宮頸がんになり、8人が死亡している計算です。子育て年代の子宮頸がんも増えています。予防のためには、ワクチンを受けることが必要です。

初期の子宮頸がん(上皮内がん)が急増している 


出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」

子宮頸がんによる死亡数は増え続けている


出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」

子育て年代の子宮頸がんが増加している


出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」

1日30人が子宮頸がんになり、8人が死亡している

日本では、上皮内がんが急増し、毎年1万人以上が子宮頸がんになっています。また、死亡者数は数十年にわたって増加傾向にあります。

近年、20代後半から40代の子育て世代に子宮頸がんが急増しています。子宮頸がんの初期は自覚症状がないため、子宮がん検診や妊婦健診でがんが見つかることが多くあります。発見が遅れ、がんの進行によっては子宮摘出や妊娠の断念を迫られることもあります。

子宮頸がんは大人になってからかかる病気ですよね。 ワクチンを接種する時期が早すぎるのではないでしょうか。

子宮頸がんの患者数は20代後半から急増し、40代でピークを迎えます。がんの発症は、HPVに感染してから数年から数十年かかるといわれています。逆算すると、ワクチン接種の時期が早すぎるということはありません。

子宮頸がんの患者数は、20代後半で急増し、40代でピークを迎えます。がんの発症は、数年から数十年前のHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が原因といわれていますので、10代での予防が必要なのがわかります。定期接種の対象が小学校6年生から高校1年生であることも納得です。


HPVワクチン接種によってHPV感染が減少


出典:Kudo R, et al. J Infect Dis. 2019 Feb 1; 219(3): 382–390.
【NIIGATA STUDY(新潟スタディ)】
新潟県内の主要都市において、20-22歳の子宮頸がん検診受診者を対象に、ワクチン接種の有無とHPVの感染状況を調べた。

 


【OCEAN STUDY(オーシャンスタディ)】
OCEANは、Osaka Clinical resEArch for HPV vacciNe の略。大阪府内の医療機関において、20歳・25歳の子宮頸がん検診受診者を対象に、ワクチン接種の有無とHPV感染状況を調べた。

 

かかりつけの小児科医からHPVワクチンを勧められたことがありません。 一部の人たちだけがワクチン接種を推奨しているのではありませんか。

ここ数年でHPVワクチンの効果が明らかになったことで、 これまでワクチン接種を勧めていなかった医療者もHPVワクチンの接種を勧めるようになっています。またいくつもの学会が、積極的接種の再開を求める声をあげています。

当会の医師会員の80%は接種を推奨
勧めていない医師の約4割が「そろそろ勧めようと思っている」


医療機関のHPVワクチン接種勧奨(N=252)(VPDの会調べ 2020年2月)

当会の医師会員を対象にしたHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンに関するアンケートでは、80%が「勧めている」と回答しています。また、現在「勧めていない / あまり勧めていない」と回答した医師のうち約4割は、「そろそろ勧めようと思っている」と回答しています。徐々に接種推奨の医療機関が増えることが予想されます。

前に副作用の映像を見たことがあります。ワクチンを受けたら同じような症状がでるかもしれないと思うと、接種をためらってしまいます。

映像をみて接種をためらう気持ちはよくわかります。でもご安心ください。ワクチンを受けていない人も同様の症状があることが確認できました。ゆえに、これらの症状とワクチン接種の有無に因果関係はありません。

名古屋スタディで調べた24症状

名古屋スタディ
対象:名古屋市に2015年8月12日に住民票のある女性全員、1994年4月2日~2001年4月1日生まれ(7学年)
方法:郵送によるアンケート調査
時期:2015年9月上旬発送,9月30日締切
サンプル数:発送数 70,960件、回収数 30,793件(回答率43.4%)
解析対象:29,846件(ワクチン接種・年齢不明を除く)

 

HPVワクチン接種と心配されている症状に、因果関係はない

2013年にHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが定期接種となった2か月後、HPVワクチンを接種した後に、広い範囲に広がる痛みや手足の動かしにくさ、意思に関係なく体の一部が動く不随意運動などを中心とする多様な症状が起きたとして、今日まで積極的な接種勧奨が中止となっています。

2015年、 HPVワクチン接種とこれらの24症状の因果関係を調べるために、名古屋市によって7万人の住民対象の大規模疫学調査が実施されました。この調査は、「子宮頸がん予防ワクチン被害者連絡会愛知支部」の要請を受けて河村たかし名古屋市長が実行したもので、「被害者連絡会」が選定した24の症状(図参照)の有無を調べました。
調査結果から、これらの24症状とHPVワクチンの接種の有無には因果関係がなく、ワクチン接種によってこれらの24症状が増加することはないことがわかりました。 

子宮頸がんは感染経路が極めて個人的です。うちの子はまだ小学生なので感染リスクがありません。ですので、今のところ予防の必要性を感じません。

HPVは、初めての性交渉でも感染する危険性があります。ワクチンは、感染リスクがないうちに接種して感染を予防するものです。性交渉を経験する前の年代でワクチンを接種しておきましょう。

子宮頸がん予防のために、6年生になったらHPVワクチン

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、16型、18型HPVの感染を防ぐことができます。ワクチン接種で、すでに感染しているHPVを排除することはできません。子宮頸がんを予防するには、HPV感染リスクのない、性交渉を経験する前に接種する必要があります。
日本では、小学校6年生から高校1年生までの女子が定期接種でHPVワクチンを受けられます。年齢的にも予防効果が高いこの年代で接種しましょう。

HPVはだれでもかかる可能性がある

HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉で男性も女性も感染します。性交渉の経験がある女性のうち80%の人は、知らないうちに子宮頸がんの原因になるHPVにかかったり、治ったりしています。
「性的な活動が高くなければ HPV に感染しない」「結婚まで性交渉をしなければ子宮頸がんにならない」などの誤解を耳にすることがあります。これは間違いで、過去に1度でも性交渉の経験がある女性ならば誰もが感染するリスクがあります。

<医療機関のみなさま>
VPDの会では、HPVワクチンの勧奨ポスターを作成しています。
ご希望の方は事務局( )までメールでお問い合わせください。

日本のワクチンよりも効果が高い9価のHPVワクチンがあると聞きました。今、あわてて受けるのではなく、9価ワクチンの発売を待ってもよいでしょうか。

日本では9価ワクチンは承認申請中です。HPVワクチンの予防効果を高めるのに価数を増やすことは有効ですが、性交渉を経験する前に接種することがもっと大切です。今あるワクチンを早めに受けるようにしてください。

世界では、9価ワクチンの導入が進む

現在、日本で受けられる2価や4価のHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、子宮頸がんになりやすい16、18型HPVの感染を予防します。子宮頸がんの約70%を防ぎます。9価HPVワクチンでは、予防できるHPVの種類が増え、約90%の子宮頸がんを防ぐことができるようになります。日本では、現在、承認申請中です。
現状では、定期接種となっている2価または4価のHPVワクチンを早い時期に受けることをお勧めします。
定期接種の対象外の高校2年生以上の女子も任意接種(費用は自己負担)として受けられます。 

HPVワクチンの種類

 価数  ワクチン名  予防するVPD
 2価  サーバリクス  70%の子宮頸がん(16、18型)
 4価  ガーダシル 70%の子宮頸がん(16、18型)
尖圭コンジローマ(6、11型)
 9価 ガーダシル9
承認申請中
 90%の子宮頸がん
(16、18、31、33、45、52、58型)
尖圭コンジローマ(6型、11型)